TRAVEL AND ART

旅行と美術鑑賞のことばっかり考えてるブログです。

動植綵絵を早く見たい「生誕300年記念 若冲展」

奇跡の若冲展!動植綵絵30幅一挙公開

ここで展示される≪動植綵絵≫と呼ばれる絵がハンパじゃないのです。美しい色を使って描かれた動物や植物の絵が30枚。まとめて展示されます。これ異例のことなんです!

'Nandina and Rooster' from the 'Colorful Realm of Living Beings' by Ito Jakuchu

(私の好きな一枚≪南天雄鶏図≫)

動植綵絵とは、1765年、伊藤若冲という画家が京都の相国寺に寄進した30幅の作品です。絵は大切に保管され、1872年には京都博覧会の目玉として公開もされました。

ところが、その後この相国寺の財政が困窮してしまいます。

そんな時、アメリカ人の東洋美術史家アーネスト・フェノロサまたは日本美術研究家のウィリアム・ビゲローによって、この動植綵絵の買取の申し出がなされました。

しかし相国寺側はこれを拒否。財政が厳しかったにもかかわらず、この申し出を断ったのです。当時の住職が何を思ったのかは定かではありませんが、今この動植綵絵30幅が日本でまとめて見ることができるのは、当時の住職さんたちが簡単に売り払わなかったおかげです。感謝、感謝。

Syokokuji hattou

(京都の相国寺

その後その動植綵絵30幅は、1889年、宮内省に献上され、その見返りとして、1万円がお寺側に渡されたそうです。単純には比較できませんが、明治中頃の1円は、庶民にとっては現在の2万円ぐらいの価値があったようなので、動植綵絵30幅は現在でいうと2億円ぐらいで宮内省に買い上げられたということになるんですかね。

フェノロサもビゲローもアメリカのボストン美術館の関係者だったので、もし相国寺があの時に売り払っていたら、ボストン美術館所蔵になっていたでしょうね。現在は宮内庁三の丸尚蔵館所蔵となっています。まあ、こちらでも常設展示ではないので、いつでも見られるというわけではないのですが。

一つも欠けずに日本に残っている動植綵絵30幅。それらが一挙に公開される今回の若冲展は、そんな理由で大変貴重な機会なんです。

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伊藤若冲って?

伊藤若冲という画家は、父親が野菜問屋を営む家のお坊ちゃま。お金持ちだったそうです。なので、お金を稼ぐためではなく、描きたいから描くといった珍しいタイプの画家でした。お金があるので、使用する絵の具や画材も高級品。質の高い絵の具で描かれたため、現在でも状態がよく、発色の良い色を保つことができているそうです。

ある時、若冲は街を歩いていて、路上で売られている雀を見て可哀想に思い、買い取って逃がしたことがあるそうです。あれっ?これってどこかで聞いたことがある話だなぁと思ったら、そうレオナルド・ダ・ヴィンチにも同じように路上で売っている鳥を逃がしたという逸話が残っているのです。偉大な画家たちはやはり思考も似ているのですかね。

釈迦三尊像3幅も公開

動植綵絵30幅と同時に相国寺に寄進された≪釈迦三尊像≫という絵も3幅あります。これらは現在も相国寺に保管されていますが、ともに今回の若冲展で展示されるのです。33幅が全て同時に展示されるのは奇跡に近いということです。

jakuchu2016.jp

開催期間が1ヶ月しかないので、混雑は避けられないでしょう。もうこれは待ち時間も含めて一日かけてでもじっくり見たい展覧会です。

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