ルノワール展に行く前に見ておきたい映画
幸福ばかりじゃないルノワール
フランス印象派の巨匠ルノワールは、明るい色彩のみを用いて官能的な裸婦や暖かい陽の光を描き、その幸せそうな情景から“幸福の画家”と呼ばれています。
晩年の傑作に≪浴女たち≫という作品がありますが、これも明るい色調で草花に囲まれて水浴する女の人たちが描かれていて、幸せ感たっぷりです。
ルノワールがこの≪浴女たち≫を描いていたころのお話が、映画となっていたので観てみました。2012年に制作されたフランス映画「ルノワール陽だまりの裸婦」です。
“幸福の画家”として有名なルノワールですが、47歳でリウマチを発症し、その後亡くなるまで関節リウマチの痛みに耐える生活だったようです。
映画の中ではルノワールが家中に響くほど叫んで痛がったり、ベッドの掛け布団が直接体に当たらないようにカバーを作って寝たり、車椅子に座ったまま使用人の女性たちに運ばれて外に絵を描きに行ったり、苦しみながら生きる姿が描かれています。
ルノワールがリウマチを患っていたことは知っていましたが、“幸福の画家”と呼ばれるぐらいだから、毎日ポカポカのお花畑でのんびり絵を描いて過ごしていたんだろう、、なんて私は勝手に考えていました。
ところがリウマチの痛みとそれ以外にも、息子たちが戦争に行って大怪我をして帰ってきたり、18歳も若い妻が先に死んでしまったり、実際には悲しいことも多く、私の想像していたのとは程遠い人生でした。
人生には不愉快なことがたくさんある。これ以上不愉快のものを作ることはない。
ルノワールの名言です。病気で苦しみながらも、一貫して明るい色調の幸せそうな絵を描き続けた理由はこれだったんですね。描いた作品数は4500点にも上るそうですが、一つも暗い絵が無いのです。
映画では、ルノワールをミシェル・ブーケというフランスの俳優が演じていて、モデルとなるアンドレという女性をフランスの女優クリスタ・テレが演じています。どちらの役者さんもいい味出してますが、特にアンドレを演じたクリスタ・テレがピッタリでした!
本当にルノワールが描く女性そのままといった感じで。暖かそうな陽の光とその光を吸い込む肌、そしてふくよかなボディが幸せな感じを高めています。これで幸せを感じるのは男性だけなのでしょうか。。
≪陽光の中の裸婦≫
≪After The Bath≫
≪長い髪の浴女≫
上の作品の制作年はバラバラですが、ルノワールは初期の頃から赤毛のちょっとふっくらした女性が好みだったんですね~。
2016年4月27日から東京で開催される「ルノワール展」では≪浴女たち≫と≪陽光の中の裸婦≫が来日します。ルノワールの名言を思い出しながら、傑作たちを見てきたいと思います。
ルノワール展 オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵|国立新美術館|2016年4月27日(水)〜8月22日(月)
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